上達の法則

著:岡本浩一PHP新書
なかなかに良い本だった。特に面白いと思ったのは以下の4点。


・上級者と中級者では世界の見え方が違う
・上級者と中級者の差は質的
・上級者は覚えられる単位(チャンク)の量が多い
・上級者になるステップの具体例

上達の法則―効率のよい努力を科学する (PHP新書)

上達の法則―効率のよい努力を科学する (PHP新書)

 上記のような点が印象に残った。いろいろな分野における上達には分野という垣根を越えた普遍的なものがあるはずだ、と考え、著者はそれについて上手く描写できていると思う。「上達」というのはプロセスであり、また往々にして「上達」の対象となるものはスポーツ、茶道など「手続き記憶(非陳述記憶ともいう)*1」が密接に絡んでくる分野なため、文章として表すのが難しい。そういった、感覚的な描写も含め、「上達」について深く掘り下げたのが本書である。

 方法論としては(多くの勉強法本などを読んできた俺などからしてみれば)ありきたりのものが多かったが、上級者と中級者の差についての記述は参考になるものが多かった。 (上級者は退屈や疲労しにくい、ながら作業ができる、他者への評価が一定している、自分を正確に認識できる、etc…)

 学ぶことが多い本である。新書としては久々に読む価値のある本に出会った。

*1:自転車に乗る技術などが代表例