鈴木先生

漫画の紹介文というのは基本的には難しい。
まず「絵」があるし、そこに流れている「雰囲気」というものがある。
そういうものまで汲み取ったレビューを書くというのはなかなかできるものではない。


で、この「鈴木先生」。中学の教師である鈴木先生は数々の問題に直面し、苦悩し、一応の「回答」を出す。
扱う問題が「給食の酢豚を廃止するか否か」であったり、「鈴木先生自身が生徒に恋をしてしまう」という問題であったり、「先生の好き嫌いについてアンケートを採られる」という問題であったりする。


この話では中学校というものの持つドロドロした雰囲気、多感な時期であるからこそ生徒たちをどうやって扱ってよいかわからないという鈴木先生の苦悩、がよく描かれている。


まあこの漫画から得られる教訓としては、「俺は中学の教師にはなれないし、まったくもってなりたくもないな」という当たり前な感想だった。教師というのは苦い職業である、と俺の中学時代の友達は言った。ドラマなどでは教師の「光」の部分しか描いていないが、この「鈴木先生」という作品は、そういうことをしない。よくある「みんな悪くないからこの話は終わり」という解決策も示さない。だからこそ、リアリティがあって面白いと思うのである。

鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)

鈴木先生 (1) (ACTION COMICS)